現場を変えた事例
事例1 : DX化にグローバルスタンダードを入れ込んだこれまでにないデザインで、マニュアルの製作と運用の課題を一気に解決
- 概要
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ある輸送機器メーカーでは、製品の取扱説明書や整備手順書の作成コストや品質に問題を抱えていました。
当社からは、- PTC社のWindchillおよび国際標準DITAを用いたドキュメントのDX化
- 航空機業界の国際標準の考え方に基づく新たなマニュアル体系の構築
- STEを使った英語圏向けマニュアルの読みやすさ向上
を提案し、結果的に30%のコスト削減と品質向上を実現できる開発を行ないました。
事例詳細
経緯
展示会に出展していた輸送機器メーカーの担当者様との会話の中から、製品の取扱説明書や整備手順書の作成コストや品質に問題を抱えていることを伺ったことが本件のきっかけになりました。
国際標準のエキスパートとシステム部門で解決策の方向性を仮説立てした上で、DXを意識したソリューション案を策定し、お客様に提案しました。
そのソリューションの有効性が高く評価され、結果、当社案をベースにRFP(提案依頼書)が出され、合同コンペを経て、当社のソリューションが採用されました。

中央図研のソリューション
- DITAのマニュアル制作の仕組みを導入することにより、データの再利用性を高め、30%のコスト削減が期待できる。
- PTC社のデータ管理ソフトWindchillを中核にし、マニュアルデータを一元管理する。
- 航空機マニュアルの国際標準規格S1000Dの考え方を取り入れて、マニュアルの構成や記載すべき内容を規定することで情報の抜けを防止し、マニュアル品質を向上する。
- 当社のエキスパートが技術英語の国際規格Simplified Technical English(STE)を使い、マニュアルの構文の書き換えや指示内容を明確にすることで読みやすさを向上する。
- Etteplan社の校正支援ソフト"HyperSTE"を活用して用語や表記ゆれを機械的にチェックし、効率的にSTE準拠の文章を作成する。
お客様からは、航空機業界のグローバルスタンダード(国際標準規格S1000D、STE)を取り入れた品質向上効果や、世界トップレベルのソフトウェアベンダーであるPTC社の信頼性及び多様な製品群による将来的な機能拡張を高く評価頂いております。
次にリリースされる輸送機器から、このマニュアル制作システムの利用が始まります。

事例2 : 航空業界の世界標準「S1000D」の最新スペックに準拠した装備品マニュアルを、タイトな納期で完成
- 概要
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大手航空機メーカーから各国装備品メーカー各社に、新型航空機のマニュアルをS1000D/ATA Spec1000BRに準拠して作成する要求が出されました。
しかしATA Spec1000BRは最新の規格であったため、国内装備品メーカー各社ともその規格をマニュアルに適用したことがありませんでした。各装備品メーカーは、自社で調査を行った結果、専門性が高く自社での作成が困難であると結論づけたため、専門のノウハウを有する中央図研にコンサルティングを含むマニュアル制作を依頼しました。
なお、会社によっては納期までに1年しかなかったため、編集ソフトウェア開発メーカーのRI&S社と協働してソフトウェアを改修し、また、客先でボトルネックとなるプロセスを当社エキスパートが代行することで要求期限までに納品することができました。
事例詳細
きっかけ
大手航空機メーカーから装備品メーカー各社に、新型航空機のマニュアルをS1000D/ATA Spec1000BRに準拠して作成する要求が出されました。
S1000Dは、航空機マニュアルの国際標準規格です。
ATA Spec1000BRは、米国航空輸送協会が民間航空機向けにS1000Dの細部ルールを定めたものです。
これは最新の規格であったため、国内装備品メーカー各社とも適用実績がありませんでした。
各装備品メーカーは、自社で調査を行った結果、専門性が高く自社での作成が困難であると結論づけたため、専門のノウハウを有する中央図研にコンサルティングを含むマニュアル制作を依頼しました。

問題発生
最も問題になったのは納期です。
通常であれば2年は必要なところ、会社によっては半分の1年しかありませんでした。通常のやり方では、納期に間に合いません。
そこで、中央図研はリードタイム短縮のため3つの施策を行いました。
中央図研の施策
- 1.マニュアル作成管理システム「EPS」のアップデート
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EPSは、航空宇宙及び防衛機器のリーディングカンパニーであるRI&S社が開発したマニュアル作成管理システムです。
当社では、マニュアル作成管理にEPSを使用するだけでなく、国内で唯一RI&S社とソフトウェア販売代理店契約を結んでおり、マニュアル編集を自社で行う装備品メーカーは当社からEPSを購入しています。当時、世界中のどのマニュアル作成管理システムもATA Spec1000BRに準拠したマニュアルを出力することはできませんでした。
しかし、当社が各社(国内装備品メーカー・大手航空機メーカー)からの意見や要求事項をとりまとめ、適切にRI&S社にフィードバックし、RI&S社が迅速にEPSのアップデートを行った結果、世界で初めてATA Spec1000BRに準拠したマニュアルを出力できるようになりました。新たに実装された機能画面
- 2.ビジネスルールの策定を当社で代行
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S1000Dの規定では、ビジネスルール(マニュアルを作成する上での詳細ルール)を策定しない限り、マニュアル作成を開始できません。
ビジネスルールの策定にはS1000Dの専門的ナレッジが必要となり、その習得から始めると大きなボトルネックとなってしまいます。
そこで、当社のエキスパートがビジネスルール策定を代行し、このボトルネックを解消しました。
- 3.体制の強化
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中央図研にはマニュアル作成やシステム化による効率化のエキスパートが多数在籍しています。
マニュアル部門とシステム部門でプロジェクトチームを立ち上げ、航空機メーカーにATA Spec1000BRに準拠したマニュアルを納品するまでのリードタイム短縮を実現しました。
施策の成果
当社と協業したすべての装備品メーカーが、期限内にマニュアルを大手航空機メーカーに納品することができました。
また、発注元の大手航空機メーカーですら当時実現できていなかった、最新スペックATA Spec1000BRに完全に準拠した高品質のマニュアルを作成・出力することができました。
